2023年06月29日 12:47

OKIは、水中音響通信装置の目標通信速度(海中2km間で20kbps)を約1.6倍上回る32kbpsの海中通信を実現する水中音響技術を開発し、実海面での実証試験に成功した。

近年、海洋における資源探索や水中構造物の点検などにおいて水中IoT機器への注目が高まり、特に複数機器の同時利用により広大な海洋オペレーションを効率化できることが期待されている。海中では、電波が著しく減衰することから、機器間の主な通信手段として音波を利用する水中音響通信が用いられる。

しかし従来の水中音響通信技術では、利用できる周波数帯域が狭く、伝送できる情報量が限られる。また、海中の伝搬速度は非常に遅いために、水中IoT機器の移動に伴い発生するドップラー効果の影響を大きく受け、海面や海底の反射によるマルチパスの影響も。通信のリアルタイム性や安定性に、多くの課題があった。

新技術は、水中IoT機器を使用したシーンでも干渉などの影響を受けにくく、取得データや制御信号の通信を安定した環境下で行うことができる。2023年3月に駿河湾海中の海域で実証実験では、試験船2隻から通信用の送受波器を海面から約15mに吊り下げた状態で、2隻間の距離を約2km離してデータ送信。通信速度32kbpsで安定した状態が確保できることを確認した。今後、たとえば海洋資源調査など有人探索ができない場面においても、長距離通信ができる水中IoT機器同士をつなぐことで、より幅広い範囲の一斉探索が可能になる。