2023年06月09日 19:10

復元された浄瑠璃「蛭小島武勇問答」が、7月17日、徳島県の阿波十郎兵衛屋敷にて公演されることが決定した。人形浄瑠璃は、近代以降(特に明治末~昭和初期)に、多くの演目がなくなってしまった。大阪公立大学大学院文学研究科の久堀裕朗教授らは、浄瑠璃本や劇評記事、道具帳などの資料をもとに、これらの演目を復活させることにより、人形浄瑠璃という芸能の多様性の回復を図ることを目指している。その研究によって復元された浄瑠璃「蛭小島武勇問答」を、阿波路会の素浄瑠璃で楽しめる。
上演されるのは「蛭小島武勇問答 工藤祐経住家の段(ひるがこじまぶゆうもんどう くどうすけつねすみかのだん)」。本作は、宝暦8年(1758)大坂竹本座初演、竹田小出雲(三代)・吉田冠子・近松半二・三好松洛・竹田滝彦による合作。平家全盛の時代、蛭ヶ小島(伊豆)に流されていた源頼朝の旗揚げが中心に描かれている作品だが、そこに有名な曾我兄弟の敵討ちの物語が絡む。
今回演奏される三段目切「工藤祐経住家の段」は、その敵討ちの発端に当たり、兄弟の父である河津三郎が工藤に討たれた経緯(その真相)が描かれている。工藤の「大笑い」、河津と妻子の別れの愁嘆、兄弟の名前の由来に関するくだりなど、聴きどころ満載。詳しくはこちら。
阿波十郎兵衛屋敷では、国の重要無形文化財「阿波人形浄瑠璃」を毎日上演。また展示室では、阿波人形浄瑠璃の特色や木偶人形の展示をしており、徳島の伝統文化をテーマとした特別公演や展示を定期的に行っている。