2022年08月25日 16:23

福岡工業大学電気工学科の北川研究室は、新しい高エントロピー合金超伝導体であるHfMoNbTiZrを発見した。複数の構成元素が同程度の割合で合金を形成する「高エントロピー合金」は、エネルギー貯蔵、放射線耐性、腐食耐性、生体適合性など様々な機能性を持つ。そのため、世界中で活発に研究が行われてきた。また、高エントロピー合金には超伝導性を持つものもあり、臨界電流密度が非常に大きなものも報告され、実用面でも注目されている。

この研究は高エントロピー状態と超伝導の関係性を調べ、高エントロピー合金の超伝導体としての特性分析や実用性向上につながる機能性の理解を目的としている。ただ、代表的な高エントロピー合金(5元系等モル)については、これまでHfNbTaTiZr、 HfNbReTiZr、 HfNbTaTiVしか、超伝導体としての報告がなかった。

今回、新しい高エントロピー合金超伝導体HfMoNbTiZrを発見したことにより、高エントロピー合金超伝導体間の比較を初めて行うことが可能に。今回の研究で、高エントロピー合金は、量子力学の基本原理である不確定性原理を通して、格子振動が激しくなるほど超伝導になる温度が低くなることが発見された。

今後の高エントロピー合金超伝導体の設計に重要な指針を与える発見で、本研究は高エントロピー合金の機能性を深く理解し、さらに向上させるために役立つと期待される。