2022年07月19日 16:21

琵琶湖と共生する滋賀県の農林水産業「森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」が、7月18日、国連食糧農業機関(FAO)が提唱する「世界農業遺産(GIAHS)」に認定された。「世界農業遺産」とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり発達し形づくられてきた伝統的な農林水産業と、それに関わって育まれた文化、景観、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システムを認定する仕組み。現在、世界で65地域が認定されており、国内では13地域が認定されている。
琵琶湖は約400万年もの長い歴史をもつ日本最古の湖で、世界中で20ほど存在する古代湖のうちの一つ。滋賀県をはじめ近畿約1450万人の生活水を支えている。
琵琶湖周辺の水田は、古くから琵琶湖の固有種ニゴロブナなどの湖魚に絶好の繁殖環境を提供してきた。特に水田やヨシ帯などに向かってくる湖魚の生態を巧みに利用してきた「エリ漁」は、資源にやさしい伝統的な「待ちの漁法」の代表格。さらに、河川に遡上する湖魚の産卵環境を保全に寄与する多様な主体による森林保全の営みや、琵琶湖の環境に配慮した農業など、千年以上にわたって受け継がれてきた森・川・水田・湖のつながりは世界的にも非常に貴重。
滋賀県は今後、「世界農業遺産」認定を広く国内外に発信。県産農林水産物のブランド化や地域資源を生かした観光産業の推進など、力強い農林水産業づくりと地域活性化の契機とするとともに、「琵琶湖システム」を次の世代への贈り物として、しっかりと引き継いでいく。