2021年06月30日 11:46

創業500年以上の歴史を誇る剣菱酒造は、自社に継承する技術や知識を活かして、酒や味噌、醤油などの醸造に使われる伝統的な木製道具の受注生産事業を開始する。

同社では、昔ながらの木製の道具の内製化に、2009年より着手。職人を社員として迎え入れて自社内に専門部署を組織し、2017年には道具製造のための木工所を酒蔵内に建設。国内最後の木桶メーカーである「ウッドワーク」や「ヤマロク醤油」の協力と指導のもと、伝統技術の継承と後継者の育成を行っている。「木製の道具には長所短所があり、使うか否かは各メーカーの判断次第。ただ、長い歴史と文化を誇る日本の醸造業からその選択肢自体が奪われてはならない」との思いから、このたび、道具づくりの技術や知識を、社外に向けても提供することとなった。

記念すべき受注生産「第1号」となるのは、長野県上田市にある信州イゲタ味噌醸造蔵元「酒の原商店」から委託を受けた「木製甑」。木の選別から乾燥、製造に至るまで、フルオーダーメイドで450日かけて完成した剣菱史上初の取り組みにして世界にひとつの甑は、6月23日に同商店に蔵入り。なお同商店では、7月1日~25日の期間中、この「木製甑」の展示も実施する。また木製甑の作製の様子は、YOUTUBEの原商店公式チャンネルで公開中。

同社では、今回の受注生産を皮切りに、社外の木製道具の修理や製造、さらに展示や撮影用の道具の製造など、同社の技術と知識を醸造業の歴史や文化の継承のために活用していく。