2021年04月14日 16:47

キリン中央研究所は協和キリンと協力し、さまざまな化合物を含む調査サンプルから、解析したい化合物を迅速に分離し、未知の化合物の構造決定をスピーディーに行える分析プラットフォームを世界で初めて確立。さらに、この分析法の汎用性を向上する技術を独自に開発した。

さまざまな分野の研究開発において、調査サンプルに含まれる化合物を分離し、その分子構造を明らかにすることは重要な工程である。同社は、2017年より東京大学大学院工学系研究科の藤田誠卓越教授が開設した社会連携講座に参加。革新的な構造解析法として注目される「結晶スポンジ法」の技術を、オープンイノベーションにより獲得。さらに協和キリンが活用ノウハウを持つ「超臨界流体クロマトグラフィー」と「結晶スポンジ法」を連結することで、化合物の分離や構造決定をより迅速に実現できる分析プラットフォームを開発した。

また、極性溶媒に耐性を示す複数の「結晶スポンジ」を見いだすことで、「結晶スポンジ法」での分析が困難であった化合物の分析も可能となった。これにより、研究開発工程のボトルネックとなる「解析対象化合物の分離・単離および構造決定プロセス」を一連の手順で、よりスピーディーに行うことが可能に。物質の生成法の最適化、製品開発スピードのさらなる向上、生産工程の効率化などが実現できる。

同社はこの研究成果を、3月18日から21日に開催された「日本農芸化学会2021年度大会」で発表し、一般演題1299件の中から選定された31演題に贈られるトピックス賞を受賞した。