2025年08月06日 15:52

明治大学農学部の研究グループは、あぶらの構造の違いによって、抗肥満ホルモンであるレプチンの作用が変わることを発見した。
ラードと牛脂は脂肪酸組成が類似している一方、グリセロール骨格における脂肪酸の結合位置が異なっていることが知られている。今回の研究では、ラードまたは牛脂を使って脂質のカロリー比が30~45%となるよう調整した特殊脂質食をマウスに与えた。その結果、ラード摂取マウスは牛脂摂取マウスと比較して、体重増加の一部抑制、グルコースバランス、さらに視床下部レプチン感受性の維持に効果があることを明らかにした。
近年、DIRECT試験において地中海式高脂肪食が低脂肪食よりも体重減少効果が高いことが示されるとともに、米国で総脂質摂取量の上限撤廃が決定。また飽和脂肪酸摂取量についての議論が述べられるなど、従来の脂質のイメージが変わってきている。
本研究で着目した動物性脂質は、長鎖飽和脂肪酸を多く含むことから、これまで健康への悪影響が懸念されてきた。しかし、同グループは動物性脂質にも様々な機能性が存在することを見出し、これが健康長寿への新たな戦略になり得る可能性を明らかにしている。また、牛脂摂取によるポジティブな効果も見出しており、ラードや牛脂に着目した実証実験も進めている。あぶらの構造に着目した一連の本研究を更に発展させることにより、「ライフイベントに添って最適なあぶらを選択する」ような新しい食育につなげていきたいと考える。