2025年07月28日 20:07

宮崎大学の研究グループは、血管を新しくつくる血管新生において、血管基底膜による血管周囲の硬さと、血流によってもたらされる血管内圧との力バランスが、管腔構造をつくりながら血管の枝を伸長するために重要であることを発見した。

血管新生では、管腔(血液が通るための管状の構造)がつくられながら血管の枝が伸びる。しかし、「血管の伸び」と「管腔をつくる」という異なる2つの現象が、どのように関係して血管新生が制御されているのかは不明だった。

本研究では、血管新生と、血流によってもたらされる血管内圧の両方を、微小流体デバイス上で再現する試験管内モデルのライブイメージング解析を独自に開発。この解析法を用いて、管腔形成後、血管内圧の上昇に伴って血管の拡張が起きると、血管内皮細胞の移動が減速・停止し、血管の伸びが遅れる現象を発見した。

これらの結果は、血管を取り巻く力学的な環境が適切に構築されることで、血管の伸びと管腔構造の形成が統合され、両立できるようになるという、新たな血管を作るしくみを示すもの。本研究の成果は、臓器の発生・発達における力学的な環境の重要性を示唆。がんなどの不適切な血管新生を背景とする疾患において、血管新生を標的とした新たな治療戦略の開発に貢献するものと期待される。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、7月28日18時(日本時間)にオンライン版で掲載される。