2025年06月09日 16:25

サイバネットと芝浦工業大学は、これまで困難とされてきた紫外線硬化接着剤(UV接着剤)の硬化過程を予測する「硬化収縮応力シミュレーション技術」の共同開発を実施。また本研究の成果が、スマートプロセス学会 エレクトロニクス生産科学部会 Mate 2025優秀論文賞を受賞した。

UV接着剤を用いた精密接着技術は、室温で短時間硬化が可能などのメリットがあり、スマートフォン搭載カメラレンズのような微小な精密機器の部品固定に用いられるマイクロ接合技術の一つとして多く使われている。

しかしマイクロ接合は、マイクロメートル単位の緻密な精度が要求されるだけでなく、接着剤の硬化収縮による部品の微小位置ずれや変形が製品の機能劣化を招く可能性も指摘されている。そこで、UV接着剤がどのように硬化し収縮するかを、部品の設計時に予測できるような技術が求められていた。

「硬化収縮応力シミュレーション技術」とは、有限要素法(FEM)の構造解析ソフトウェアを活用し、熱硬化性接着剤の硬化反応に伴う材料特性の変化を計算することで、UV照射中の接着剤の挙動を予測する技術。マルチフィジックス解析ソフトウェア「Ansys ソフトウェア」のユーザーサブルーチンによって、硬化度の時間発展や、それに伴う粘弾性特性の変化を考慮することで実現された。

このシミュレーション技術を精密機器の設計開発工程に取り入れることにより、成形不良の原因究明やその予測ができるようになり、品質の向上や手戻りの削減などが期待される。