2025年05月30日 16:11

ミライ化成は、再生炭素繊維事業を拡大するための研究開発施設「青森Lab」を青森県上北郡六戸町に設立し、5月27日に開所式を執り行った。当日は、行政や大学機関、研究開発機関、先端材料に関わる分野の企業関係者など約120名が来場した。
炭素繊維は、軽量でありながら高い強度を誇り、さらに腐食に強いという優れた利点がある。その高い信頼性と性能から、炭素繊維と樹脂(プラスチック)を混合した炭素繊維複合材(一般的にCFRPやCFRTPと言われる)は、航空機や自動車、半導体製造装置といった産業機器だけでなく、スポーツ用品などの幅広い分野で活用されている。
ミライ化成は、CFRPの製造工程で生じる端材や廃材などから独自の技術で炭素繊維を回収・再生する再生炭素繊維事業を展開している。一般的に、新品の炭素繊維の製造には多量の熱エネルギーを要するため多くの二酸化炭素を排出する。しかし、ミライ化成の技術は溶媒法を基礎としているため、少ないエネルギーで炭素繊維を回収することが可能であり、二酸化炭素排出量の大幅な抑制が期待できる。
「青森Lab」では、こうしたミライ化成の独自技術を活用し、端材・廃材を用いた素材開発に留まらず、成形加工に至るまで一気通貫した技術の確立を目指す。これにより、回収した繊維をより製品に近い形状まで試作することで、CFRPの高機能化と環境負荷の低減を両立させる新たな価値創造を推進していく。