2025年05月29日 19:21

ヤタローの代表取締役会長・中村伸宏さんによる「ヤタローと治一郎」が、5月13日より全国書店で発売された。

ある日ある時、浜松のパン工場の片隅にある旧式の焼成機から、不思議な食感のバウムクーヘンが焼き上がった。大手の菓子会社の下請けとして作っていた頃に比べて水分の含有量が微妙に多く、しっとりとしてすんなりと喉を通る。偶然出てきた基準外の「失敗作」が持つ新しい食感に感動した工場長たちは、この再現を試みる。こうして製品化し、高級自社ブランド化に成功した製品が、全国に多くのファンを持つあの名菓「治一郎バウムクーヘン」だった。

パン製造を中心とする地方の食品メーカーが、ブランド名菓を生み出し販路を全国へ広げた奇跡の展開。これを可能にしたのは、ヤタローに培われていた「商品を育てる心」だ。「もったいない」の精神で商品の可能性をあきらめず、独自の発想とたゆまぬ試行錯誤で発展させたその歩みを、50年以上にわたって経営のトップに立ってきた経営者自らが語る一冊となる。

経営者が故郷・輪島で培った「粘り強さ」を土台に、「工夫」「感謝」「信義」「共栄」「継承」という5つの理念を全国の販売拠点に広げ、目指すは300年の持続。そんな中堅メーカーの歩みは、地方都市から全国展開への夢を描く多くの企業にとって示唆に富んでいる。次世代を見据えた経営持続のためのノウハウを紹介する一冊となっている。

「ヤタローと治一郎」は定価1600円(税別)。発刊日は5月13日。