2025年05月15日 18:59

農工大とサントリーは、サツマイモの収穫量の増加および安定を目指し、鹿児島県内の生産者と協力し、5月より再生農業の手法による栽培を開始する。再生農業とは、土壌の健全性や生物多様性などを保護・再生しながら、農家の生活向上にも資する、持続可能かつ成果ベースの農業アプローチ。具体的には化学肥料や農薬の使用量抑制等を通じ、GHG排出量削減等につながる。

昨今、基腐病(もとぐされびょう)の流行によるサツマイモの収穫量減少が全国的な問題となっており、日本で流行しはじめた2018年以前と比較すると、サツマイモ収穫量は約10%減少している。

今回の実証では、土壌の健全性の回復が病害対策になるという仮説に立ち、緑肥やバイオマス資源由来の炭化物であるバイオ炭を農地の土壌に加えて耕す。そこでサツマイモを栽培して、病害への効果を検証する。サントリーは緑肥やバイオ炭などの資材調達、農工大は土壌環境、土壌微生物、病害に関する技術提供・評価をそれぞれ担当し、鹿児島県内で実証栽培する。

実証期間は2027年末までの3年間を予定しており、病害への有効な対策を講じ、収穫量を病害以前の水準まで戻し安定させる。それとともに、日本固有の気象・土壌条件に適した再生農業手法の確立を目指す。なお本実証では、緑肥やバイオ炭の使用により、これまでの農法よりも化学肥料の使用が50%程度減ることが期待でき、その場合、GHG排出量が30%以上削減できる見込み。