2025年05月02日 09:58

久米設計は、同社が設計した「南三陸町役場庁舎」が第13回カーボンニュートラル賞 東北支部を受賞した。
時代は「低炭素」から「脱炭素」へと移っている。建築分野では、運用時に多くの温室効果ガスを排出するが、建築設備士を初めとする建築設備技術者はこの削減に大きく貢献することができる。カーボンニュートラル賞とは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた建築物、建築設備に関わる優れた業績を表彰することで、その意識の浸透と推進活性化を図ることを目的としている。
「南三陸町役場庁舎」の設計コンセプトは、南三陸杉の大屋根の下で皆がともに時間を過ごす。東日本大震災の巨大津波により流失した役場庁舎の復興計画。津波被害と、その後の復興に伴うかさ上げ工事により失われた同町のコミュニティ再生の拠点として「マチドマ(まちの土間)」と名付けた交流空間をエントランス部に設けた。これは、人々が気軽に訪れるふだん使いの敷居の低い庁舎を目指し、また、人々の復興活動や協働を一つの大きな空間で内包し未来のまちづくりへ繋げることを意図したもの。平屋を基本としたその空間は、自然光が溢れ、風が通り抜け、里山の木のぬくもりが感じられる居心地の良い空間として計画している。また町のブランドである南三陸杉を構造体の格子梁や天井仕上げ、コンクリートの型枠等などに利用し、これらの取組みにより日本の公共施設として初めて、森林の国際認証である「FSC全体プロジェクト認証」を取得。次世代の「バイオマス産業都市構想」を掲げる南三陸町をアピールする意味で、復興の一助ともなっている。