2024年12月12日 16:29
ナノスイカンパニーは、中澤歯科・東北大学未来科学技術共同研究センターの高橋正好特任教授らとの共同で、オゾンナノバブル水を用いた歯科用インプラント材の超親水性化技術を確立した。
インプラント材には高い生体適合性が求められ、体内に挿入されると血液や体液と接触し骨芽細胞の付着や増殖を促進することで骨形成を助ける。この過程で、インプラント材表面が親水性であることは迅速な骨結合(オッセオインテグレーション)を促進し、その後の機能回復において重要な要素となる。しかし、手術中や準備段階での有機汚染による表面の疎水化は課題のひとつであり、現場で即応可能な対策が求められている。
この技術では、有機物で汚染され疎水化したインプラント材を、オゾンナノバブル水に10分間浸漬するだけで表面物性を大幅に改善できる。処理前後の酸化チタン素材の濡れ性試験を行ったところ、処理前は疎水性(表面で水滴が広がらない)を示したが、オゾンナノバブル水で処理後は超親水性に。実際に利用されているスクリュー型インプラント材でも濡れ性試験を実施したところ、処理前は疎水性を示し、処理後は親水性に変化。水がスクリュー表面を伝って上昇する現象が観察された。
インプラント材をナノバブル水に浸すだけで表面の物性が改善されるため、医療現場での負担軽減が期待される。さらに、この技術は形状を問わないため、人工関節や心臓血管デバイスなど整形外科を含む幅広い医療分野への応用が見込まれる。