2024年12月02日 19:32

沖縄美ら島財団は、サメの小型人工子宮装置を開発。また、この成果を国際学術誌MethodsXにて発表した。

沖縄美ら島財団の研究チームは、2017年より、母体外で胎仔を育成するための「人工子宮装置」を開発。その結果、2020年には、独自に開発した装置を用いて、深海ザメ「ヒレタカフジクジラ」の胎仔を5カ月間にわたり育成することに成功。さらに、その翌年には装置で育成したヒレタカフジクジラ胎仔の人為出産に世界で初めて成功した。

一方、2020年に開発された装置は、サメの血液を模して作成した人工羊水と、良好な内部環境(水質・水温)を維持するための複雑な機構によって構成されており、総重量が1t程度と非常に大型。このような大型の装置は、室内に設置して運用する必要があり、搬送に数日かかるような遠隔地で回収された早産胎仔には適用できない。さらに、定期的に必要な人工羊水の交換作業が大掛かりになるという運用上の課題も。

本研究で開発した装置は、その仕組みを極限までシンプルにすることで、総重量を20分の1以下まで小型化。その結果、人力での移動や、小型船や自動車などに積載可能なサイズとなり、施設内での運用だけでなく野外での使用が初めて可能になった。本技術は、海上で回収された早産胎仔の長時間搬送など、将来的に絶滅危惧種の保全のために活用されることが期待される。なお本装置は、沖縄美ら海水族館(サメ博士の部屋)にて展示中。