2024年11月28日 19:35
日本トリムは、指定国立大学法人東京大学との共同研究により、ナノファブリック型新規高機能性白金電極触媒を開発した。
本件に関する論文を英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)が発刊する材料化学に関する専門誌「Journal of Materials Chemistry A」に投稿し、10月16日に掲載された。
白金(Pt)は水素発生反応を促進する模範的な電極触媒として知られており、白金の高い触媒効果を維持しながらその担持量をいかに減らすかという研究は最重要の課題となっている。今回、単層カーボンナノチューブから構成されたナノファブリックを白金で覆う手法を使い、白金の担持量を10μg/㎠以下までに減らすことに成功した。また、このナノファブリック型白金電極触媒を使い水素発生反応を行ったところ、白金触媒のエッジサイドは水素原子の生成に寄与することを世界で初めて突き止めた。
今回開発したナノファブリック型の白金電極触媒は、同じ量の水素を発生するのに、従来型の粒子状Pt/C電極触媒に比べ、同面積当たりの白金量を約150分の1に減らすことができた。白金電極触媒のエッジサイドから電子が放出され、電気二重層中の水和水素イオンがこれらの電子を受け入れ、水素原子(H・)に還元されることを突き止めた。
本研究の成果により、高価な貴金属である白金の量を減らした電極の開発が可能になったことから、水素生成製品の価格を安く製造できることが期待できる。