2024年11月27日 09:56

エア・ウォーターは、産業ガス事業で培った極低温技術と液体窒素の冷熱を利用して青果物等を急速に冷却できるシステムを開発した。

同社グループは、スマート農業技術や加工・物流機能の強みを活かした新たなビジネスモデルの創出を通じて、地域農業の振興、食料自給率の向上、食品ロス低減などSDGs達成に向けた取り組みを進めている。

近年の地球温暖化に伴う気候変動は、青果物の収穫にも大きな影響を及ぼしており、特に夏場の高温は収穫後の青果物を劣化させ、鮮度を落とす主要因となっている。今回開発した急速冷却システムは、グループ会社であるエア・ウォーター北海道・産業ガス㈱の極低温技術を活用し、液体窒素の冷熱を短時間で効率的に青果物に供給できる可搬式装置。液体窒素式の場合、簡単な構造でマイナス196℃での蒸発潜熱と顕熱による大きな冷熱を供給することができる。この冷熱の活用により従来の機械式冷凍機では8時間かかる冷却時間が1時間まで短縮できたことを実験にて確認した。また、本システムは可搬式のため、酷暑期間中に小売店舗等のバックヤードでの一時的な仮設冷蔵庫としての活用も可能だ。

同社では新開発したこの急速冷却システムを複数基作成し、協力してもらえる産地や流通事業者を募集して実際に運用することで、本システムの効果を確認する実証試験を開始。品種や収穫時期ごとに異なる青果物の鮮度保持条件を最適化してレシピとすることで、本システムの利用を拡大していく。

エア・ウォーター