2024年11月26日 15:53
三菱電機は、理化学研究所、分子科学研究所と共同で、強力な短パルスで世界最高クラスの出力である235ミリジュールを実現した、サブナノ秒パルス深紫外レーザー装置の開発に成功した。
新材料や新薬の開発、粒子線がん治療などに使用される加速器は、電子や原子などに強い電界を加えることにより粒子の動きを加速させる装置。粒子が人体や物体の深部まで到達するという特性を活用している。しかし、加速器は大型の装置が必要となることから、この小型化を実現するためのレーザー加速技術の研究が世界各国で行われている。
一方で、レーザー加速には高出力のレーザー装置が必要。そのため、レーザー加速が実現した場合でもレーザー装置自体が大きくなり、結果的に加速器全体としては大型化してしまうという課題があった。
同社は今回、短パルスのマイクロチップレーザーを採用し、ビーム径を最適化することで、サブナノ秒パルス深紫外レーザー装置において世界最高クラスの出力である235ミリジュールを実現。また、理化学研究所および分子科学研究所との連携により開発した分布面冷却の技術を使用した高排熱チップを採用することで、従来、低温冷却が必要だった高出力レーザーの常温での動作を可能とし、装置のサイズを小型化した。今後もレーザー加速技術の開発とレーザー装置の小型化をさらに推進し、幅広い分野での技術革新に貢献していく。