2024年04月09日 12:11

奥村組とシステム計画研究所は、山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害を防止することを目的として、切羽鏡面の吹付けコンクリートのひび割れを検出して肌落ちの予兆を知らせる「肌落ち監視システム」を開発した。

厚生労働省が労働災害の防止を図るため策定した「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」に、事業者が講じることが望ましい事項として「切羽監視責任者の選任」や「具体的な肌落ち防止対策」、「切羽監視責任者による切羽作業中の切羽の常時監視」などが挙げられている。切羽での作業にあたっては、労働者の立入を原則禁止するとともに、機械化も進めているが、発破掘削における爆薬装填、結線など、切羽に立ち入らざるを得ない作業がある。そのため、切羽における肌落ち災害の防止を目的として、目視では確認しきれない鏡吹付けコンクリートのひび割れ変状を速やかに検出し、切羽監視責任者による監視を補助する「肌落ち監視システム」を開発した。

同システムは、切羽での作業中にカメラで撮影した切羽画像から、鏡吹付けコンクリートに発生したひび割れをAIで検出し、肌落ちの予兆を警告する。吹付けコンクリート供試体や鏡吹付けコンクリートなどのひび割れ画像を教師データとして作成したAI学習モデルを用いて、86%以上の高い精度でひび割れを検出することができる。今後は、同システムを現場へ積極的に展開し、肌落ち災害防止対策の有効なツールの一つとして活用していくとともに、同システムの高度化に向けた検討課題の抽出やさらなる改善に取り組む予定だ。

奥村組