2024年02月16日 12:51

メニコンは、虹彩模様付きソフトコンタクトレンズ(カラコン)の印刷層において、インクに含まれる顔料が最表面に存在するか否かを、簡便に識別する方法を確立した。これにより、カラコン製品全般に関する理解度向上が図られることを期待している。
カラコンは、視力補正に加え、より印象的な瞳を演出する製品として、若年層を中心に使用者が増加傾向にある。しかし、印刷に使用されるインク中の顔料成分がレンズ表面に露出した製品が一部存在し、瞼や角膜表面を傷つける危険性があることが報告されている。
メニコンでは、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用した印刷層における顔料の分布構造を観察する手法を開発した。ただしこのTEMによる観察は、試料作成に高いスキルと、長い測定時間を必要とする。
そこで同社は、コンタクトレンズの高い性能を実現する素材構造の研究に活用している最先端研究施設、大型放射光施設SPring-8を利用し、市販カラコン製品の印刷層に含まれる顔料成分の分析法を研究。その結果、X線吸収微細構造法(XAFS) という手法を用い、特殊な光を直接レンズに照射することで、最表層に存在する顔料元素を簡便に識別することに成功した。
短時間での測定が可能なXAFS測定によるスクリーニングを行い、詳細な顔料位置を観察可能なTEMによる分析を併用。それにより表面に顔料が集まるレンズを、迅速かつ詳細に選別できるものと期待される。