2024年01月05日 15:41

「暇と退屈の倫理学」(新潮文庫刊)が、東大生協本郷・駒場書籍部両店、京大生協ショップルネ書籍コーナー文庫2023年1月~12月実績で1位を獲得。2022年から2年連続で、「東大・京大で1番読まれた本」となった。2021年1月に新潮文庫より刊行後、部数を伸ばし続け、発行部数は30万部を突破している。
本書は気鋭の哲学者である著者:國分功一郎さんが、現代社会において暇と退屈が抱える問題点を、歴史的な視点と先哲の教えを横断しながら紐解いた本。初刊は2011年10月に朝日出版社より刊行。その後、2015年3月に太田出版より増補新版が出ており、本書はこちらの文庫化となっている。初刊より、第2回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞するなど、人文書としては異例の話題を呼んだ。刊行より10年以上経つ現在も、入試問題や高校の国語の教科書に採用されているロングセラーとなっている。
年代別に見ると、本書を最も多く手に取っているのは40代の読者。一緒に読まれている書籍としては「限りある時間の使い方」「頭のいい人が話す前に考えていること」などのビジネス書や自己啓発書が上位に入った。40代に次いで多いのは20代の読者。
また、どの世代にも併せて読まれているのが、外山滋比古さんのベストセラー「思考の整理学」。暇と退屈という問題の普遍性、また、哲学書とは思えないような易しい語り口とリーダビリティが、「思考の整理学」同様に幅広い読者に手に取られる所以だと考えられる。