
鹿島は、高流動コンクリートを用いた「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム」を、西日本高速道路発注の「新名神高速道路 宇治田原トンネル西工事」の一部区間に導入した。
従来のトンネル工事における覆工コンクリート打設には、狭隘な空間でのコンクリートの入念な締固めや配管の切替え等、人力による苦渋作業が伴う。また、これらの作業は技能労働者の技量や熟練度によるところが大きく、品質不良箇所の発生が懸念される。さらに、年々深刻化する技能労働者不足や後を絶たない労働災害など、建設業が抱える課題も相まって、近年、覆工コンクリート打設の自動化へのニーズが、より一層高まっている。
そこで鹿島では、人力作業の削減と生産性・安全性の向上を目的に、締固めが一切不要な覆工用高流動コンクリートを用いた同システムを2020年に開発、模擬トンネル(静岡県富士市)において、その有用性を確認した。そして今般、実工事において、同システムに自動化のメリットを最大限に活かすことができる覆工用高流動コンクリートを初めて採用した。これまで用いてきた中流動覆工コンクリートは、一部の箇所で人力による締固めが必要だったが、覆工用高流動コンクリートは締固めが一切不要なため、同システムのメリットを最大限に活かすことができる。今回、同システムに高流動コンクリートを用いた結果、打設時の人員の約60%低減、およびコンクリート表層品質の均質化を実現した。鹿島は今後、他のトンネル工事においても、締固めが不要な覆工用高流動コンクリートを用いた同システムの導入を推進し、さらなる合理化施工を検証していく。