2023年08月18日 18:54

熊本大学大学院生命科学研究部の宮本健史教授らの研究グループは、多施設共同研究により大腿骨骨折患者1395名を登録して、骨折リスクについて機械学習を用いて網羅的に評価を実施。その結果、8個の因子を同定した。また、各因子の大腿骨骨折発生に対する重要度についても同様に機械学習を用いて評価を行い、各因子の重要度をスコア化した。

高齢者の大腿骨骨折は増加の一途を辿っており、国内の年間の発生数は20万件を超え、なお増加し続けている。骨折後の生命予後は極めて悪く、日常生活動作レベルの低下、要介護化のほか、高額な医療費など、多くの課題を抱えている。しかし、大腿骨骨折のリスクから骨折の発生を予測し、骨折そのものを予防する取り組みは限定的だった。

また、大腿骨骨折の大半は転倒によるものだが、骨粗鬆症に加えて転倒を含めて骨折リスクを予測するツールは今のところ存在しない。大腿骨骨折は骨折して初めて自分にリスクがあったことに気が付くことも少なくなく、骨折する前に自身の骨折リスクを知るツールが求められていた。

今回の大腿骨骨折の骨折リスク判定ツールは、病院等での採血等の検査が不要で、機械学習の知識がなくても家庭で実施が可能なものとして設計された。自身にリスクがあると判定された場合には、病院を受診するなどして適切な加療を受けることで、骨折を未然に防ぐことが期待される。