2023年08月09日 18:52

COGNANO社と、大阪大学大学院薬学研究科/生命機能研究科、九州大学大学院薬学研究院が共同で、バイオマーカーが発見されていない難治がんを解決する抗がん剤開発に乗り出す。
これまでトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、標的となるバイオマーカーが発見されておらず、治療のための創薬が困難だった。バイオマーカーが不明な疾患をアンメットメディカルニーズと呼ぶが、TNBC以外にも膵がん、胆管がん、肺小細胞がんなど、多くの疾患が未解決のまま残されており、将来に向け大きな課題となっている。
Deep Tech ベンチャーのCOGNANOは、TNBCのがん細胞表面を特異的に認識するアルパカ由来抗体を、ビックデータAI技術を活用した採掘技術を駆使して探索する技術を複数取得し、特許出願している。これは、抗体創薬を迅速に開始できるばかりではなく、新規バイオマーカーの発見も意味し、一石二鳥の創薬手法と言える、世界で初めての方法論。
今回、COGNANOの方法論と合わせて、大阪大学大学院薬学研究科/生命機能研究科と九州大学大学院薬学研究院が協力してデータ取得を高速化。最新のクライオ電子顕微鏡の技術を活用し、これらの抗体ががん細胞とどのように結合するか、詳細な分子構造を明らかにする。また抗体に抗がん剤を結合させた薬剤を開発して、抗がん剤を患部に直接送達する治療効果をマウスモデルで検証する予定。本事業でデータを蓄積し、未だ治療法のないTNBCに対する創薬の問題を高速に解決することをめざす。