2023年06月30日 15:08

廃棄衣類繊維を原料とした繊維リサイクルボード「PANECO(R)」は、MDF(中密度繊維板)製造ライン使用による、世界初の量産試験に成功した。

「PANECO(R) board V」は、木質繊維板のMDFと同様に、廃棄衣類繊維を熱硬化によってボード化した繊維リサイクルボード「PANECO(R) board」の、本格的な社会実装を目的として開発された量産化バージョン。MDF製造ラインを使用し、廃棄衣類繊維をリサイクルボードとして量産化するのは世界で初めての試み。今回の量産試験の成功は、ファッション産業や繊維産業のサーキュラーエコノミーを大きく先進させる可能性を持つとして、さまざまな業界から注目を集めている。

現在、地球環境に配慮した取り組みとして、「サステナビリティ」「SDGs」といったワードに多くの人が関心を持っている。そうしたなかで、大きな問題のひとつが「ファッションロス」。世界で年間約1億トンものファッションロスがあると言われており、その多くが焼却処分されることで、大量の温室効果ガスの排出にもつながっている。

そうした背景のなかで開発が進められてきた「PANECO(R) board」は、アパレル企業などの繊維産業から回収した廃棄衣類や製造工程で発生する端材などが原料。さらにはプロダクトとして利用された後に再度回収することで、水平リサイクルによる廃棄を極力出すことのない、新たな循環システムを構築することが可能となる。