2023年03月15日 12:54

ASEI建築設計事務所は、建設発生土の不適切な処理などで社会問題にもなっている関東ロームの循環利用を目指し、関東ロームを配合した「関東ロームブロック」の製造開発に成功。その関東ロームブロックや関東ローム左官を、祖師ヶ谷大蔵の住宅の外壁や床などにふんだんに利活用し、5トンの関東ロームを循環利用した。

関東ロームは、これまで開発したシラスと違い粘土質のため、熱容量が多く蓄熱性が高い土。また、複数の粒子が内部に空洞をもった団粒構造のため、断熱性、吸放湿性、保水性、排水性が高いという多くの特性を合わせ持っている。

テラスの南面とコモンテラスの北面には、関東ローム土を珪砂とセメントに配合し加圧成型した「関東ロームブロック」を江戸簾のように吊り式のスクリーンを設置。適度なプライバシーを確保し、日射の抑制を図った。同じ製造方法による路地床と、関東ローム配合左官仕上げの壁で囲まれた立体路地は風洞でもあり、温熱調和の機能を果たす。関東ロームという東京の未利用資源が、自然を顕在化させ、家族の関係をつなぐ新たな媒体になっていくことが期待されている。

現在、関東ロームブロックによる室内外の温熱環境の温度・湿度の測定を行っており、データ取得した数値を分析して、その効果を検証する。そして、本住宅での実証実験の成果を踏まえて、関東ロームを利活用したブロック、タイル、レンガ、左官の製造開発をさらに進め、建設発生土の循環利用拡大を目指す。