2023年02月01日 19:43

長瀬産業とNAGASEグループのナガセケムテックス、林原は、従来品と同等以上の吸水性能を有しながら、バイオ由来原料の比率を高めた高バイオマス度の高吸水性ポリマー(SAP)の共同開発に成功した。2025年度以降の上市を目指し、今後は量産技術の確立と生産体制の構築を進める。
SAPは高い吸水性能を有する高分子材料で、紙おむつを中心にナプキンなどの衛生用品や、農業、緑化分野や化粧品など幅広い分野で使用されている。従来品はアクリル酸を主原料としたポリアクリル酸系のSAPが主流であり、石油由来かつ非生分解性であることから環境負荷が大きいという課題があった。
これに対し、環境負荷の少ない天然由来かつ生分解性を有するSAPとして、天然高分子である澱粉やセルロースなどの多糖類を主原料としたSAPの研究開発が行われてきた。しかし十分な吸水性能が得られず、最終製品としての活用は難しいとされていた。NAGASEグループは、澱粉構造を酵素変換することで吸水特性が大きく変化することに着目。林原の有する酵素技術と、ナガセケムテックスの樹脂製造技術を掛け合わせ、澱粉を主原料としながらも、SAPとしての吸水性能を最大限に引き出すことに成功した。
本開発品は、バイオ由来・生分解性による環境負荷低減に貢献するもので、環境対応製品の開発に注力する企業や自治体などに向けた販売を想定している。