2023年01月30日 15:53

理研・ユーグレナCTOらの研究チームは、微細藻類のうち、ユーグレナ藻類の一種であるユーグレナ・グラシリスの色素(カロテノイド)の組成が異なる変異体をゲノム編集技術によって作出。ユーグレナの眼点(光を感じる器官)における、光認識に必要なカロテノイドを同定した。
先行研究により、ユーグレナの眼点に含まれるカロテノイドが、光走性に必須であることが示唆されていた。しかし、ユーグレナの体内に含まれるカロテノイドのうち、眼点にはどのカロテノイドが含まれるのか、また眼点のカロテノイドが光走性に対してどのように働くのかは分かっていなかった。
本研究では、ゲノム編集でカロテノイド組成の異なるユーグレナ株を作出し、光認識にゼアキサンチンが必要であることと、その合成に関わる遺伝子を明らかにすることができた。また、微細藻類の中でも、緑藻類に属するクラミドモナスと、ユーグレナ藻類に属するユーグレナでは光認識機構が異なることが明らかに。
研究チームは、ユーグレナ藻類を原料とした有用物質やバイオ燃料の原料となる油脂等の生産性を向上する技術を開発し、実用化を目指した研究に取り組んでいる。ゼアキサンチンをはじめとするカロテノイドは、食品、化粧品、医薬品といった幅広い分野に利用される、産業界からの需要が高い有用色素。本研究で明らかになったユーグレナ藻類のカロテノイドの代謝と機能に関する知見は、ユーグレナを用いた有用カロテノイド生産への応用が期待できる。