2022年12月12日 15:34

翔泳社より、書籍「隣の聞き取れないひと APD/LiDをめぐる聴き取りの記録」が、12月12日に発売される。聴力には異常がないにもかかわらず、うるさい場所や複数人が集まる場などでは相手の言葉が聞き取れなくなってしまう困難である、「APD(聴覚情報処理障害)/LiD(聞き取り困難)」。

BGMが流れているカフェで音楽と店員や友人の声が同じボリュームで混じり合い、会話がうまくできなくなってしまったり、会議など話し手が次々と切り替わる場面で聞き取れなくなったり。そのため人間関係が壊れたり、仕事を辞めざる得ない状況にまで追い込まれてしまう当事者が多い。昨年より国内でも大規模な研究・調査が始まったAPDだが、社会での認知はまだ低く、その悩みや訴えはなかなか理解されない。

本書では、自身もマイノリティ経験を持つ著者が、「聞き取り」にまつわる困難「APD/LiD」について、当事者や支援者、研究者やメディアなどにおこなった聴き取りをまとめている。

ある晩、日本国内では限られたAPDについて診察できる医師から、「APDで悩む当事者たちのことを書いてほしい」というメッセージを受け取ったという。そこから、当事者会の取材協力も得て、多くの当事者や専門家、メディアなどへ取材。その中でわかってきた、当事者の生きづらさや葛藤、社会の中で孤立した状況…。APD/LiDについての聴き取りを通して、「誰一人取り残さない社会」の実現に向けて社会に求められる変化を問う1冊。定価1760円(税込)。