2022年12月01日 16:18

三洋化成工業が開発する肥料被覆材に、バイオマスレジンホールディングスの生分解性樹脂「ネオリザ(R)」が採用されたことが明らかとなった。

近年、農業における肥料成分溶出後の被膜殻の残存による土壌汚染や、河川や海洋への流出による汚染が課題視される中、環境負荷低減への対策として、生分解性の技術の発展が求められている。同社は2007年より、食用に適さない古米など、飼料としても処理されず、廃棄されてしまうお米などを活用したバイオマスプラスチック「ライスレジン(R)︎」を開発販売している。

一方、バイオマスプラスチックは、100%生分解されないという課題も同時に抱えている。そこで、自然界に存在する微生物の働きで、水とCO2に分解される生分解性樹脂「ネオリザ(R)︎」の協同開発を、京都大学と進めてきた。熊本県水俣市では「ネオリザ(R)︎」で成形したごみ袋の分解による生ごみの堆肥化に関する実証実験を実施。その結果、米による生分解が適していることが実証された。

この度、生分解性「ネオリザ(R)︎」の特徴を活かし、三洋化成は同社が得意とする界面制御技術により、肥料成分の溶解速度を制御する機能を付与した肥料被覆材を開発することに成功。今後、土壌汚染や海洋汚染といった課題解決につながるソリューションとして応用展開が期待されており、2027年の実用化を目指す。