2022年08月08日 15:51

住友重機械工業は、鉄鋼曲面を吸着走行する新型ロボット機構の開発に成功した。本開発は、2018年度より開始した「チャレンジ制度」に基づき、技術研究所で「重工製造現場向け作業ロボットの開発」に取り組んだ成果によるもの。
船舶やプラント設備等の大型鉄鋼構造物の製造・保守の現場では、磁力によって構造物表面や壁面に吸着して移動する車輪型ロボットがよく使用されている。従来のロボットはおもに平面上の走行に限定されていた。曲面に適応させるには面の曲率に対してロボットを小型化するか、特定の面形状と走行方向に限定した機体設計にするなどの必要がある。そのため、対応可能な面形状および動作や、搭載可能な作業ツールの種類に限界があることが課題となっていた。
今回、2つの回転軸によって回動可能な磁石を内蔵した中空の球状車輪を新たに考案。これを用いて、従来ロボットでは困難であった鉄鋼曲面の吸着走行を容易に行えるロボット機構の開発に成功した。開発したロボットは、「曲面形状をした壁面の走行」「壁面への着脱」「壁と天井など2つの面がなす隅部の乗り越え」などの動作を、複雑な制御を必要とせずに実現。これらの特長によって、従来人手に頼らざるを得なかった曲面上での溶接作業などでの活用が期待される。
大型の鉄鋼構造物の製造現場では、高度技能を必要とする曲面上の作業や高所作業など、自動化困難な作業が数多く存在している。本開発の成果によって、作業者の負担が軽減され、より安全でスマートな次世代の重工製造現場の実現を目指す。