2022年05月24日 13:15

愛知県豊橋市の自然史博物館で資料整理ボランティアとして活動する森下俊介さん(38)が、神奈川県立生命の星地球博物館の渡辺恭平学芸員との共同研究により、新種のハチ2種を発見した。ヒラタアブヒメバチの仲間としては、日本で34年ぶりの新種発見となる。
森下さんは宮城県で生まれ、農業を志して平成26年から豊橋市に移住。子どもの頃から昆虫が好きだったことから、自然史博物館の資料整理ボランティアに応募した。ボランティアとして4年ほど活動しており、20万以上の昆虫標本を分類ごとに整理している。
森下さんは、数年前からハチの研究活動で渡辺学芸員と交流を続けており、ヒメバチの標本調査のため渡辺学芸員の元を訪ねていたところ、神奈川県立生命の星地球博物館内に不明種として保管されていたヒメバチと出会った。森下さんは初めてそのハチを見た際、「新種だ」と直感したという。ヒラタアブヒメバチの仲間は、ヒメバチ科の中でも新種が見つかりにくく、日本固有の種が少ない中、今回発見された2種は日本の固有種であると考えられている。
今回の快挙について、「発見したときは狂喜乱舞した。」と喜びを語る。「地元に自然史博物館があったことが大きい。昆虫学を学んだことのない自分が、ボランティア活動を通して1から勉強することができ、研究者になれた。」と話した。森下さんらの研究論文は、昆虫学系では世界的に知られるドイツの学術専門誌に掲載されている。なお、豊橋市自然史博物館では、5月29日まで、2種の新種のハチの標本を展示する。