2022年05月12日 09:34

毎日新聞社が発行する週刊点字新聞「点字毎日」が5月11日、創刊100年の節目を迎えた。
「点字毎日」は、新聞社が発行している国内で唯一の点字新聞。1922(大正11)年の発刊以来、一度も休むことなく、編集部が独自に取材、編集したニュースや生活情報を視覚障害のある読者に届け、視覚障害者と社会をつなぐ架け橋になってきた。
点字毎日は1922年5月11日、4月2日発刊の総合週刊誌「サンデー毎日」、12日発刊の日刊英字紙「英文毎日」に続いて創刊された。当時、日刊の点字新聞は世界になく、英国にいくつかあった週刊点字新聞も一般ニュースを点訳しただけ。点字毎日のように広く盲人関係のニュースを独自に取材し、論説も掲載した例はなかった。
発行部数は次第に伸びて4年後には約4000部に達し、米国や中国に住む視覚障害のある邦人の間でも読まれた。物資が払底した第二次世界大戦中も、戦後の混乱期も発行を続け、55年には来日した米国の社会福祉事業家、ヘレン・ケラーが大阪にある編集室、印刷室を視察。63年に菊池寛賞、68年に朝日賞(後の朝日社会福祉賞)を受賞した。
創刊100年記念合併号と5月11日付毎日新聞朝刊に特集記事を掲載。9歳で失明、18歳で聴力も失った全国盲ろう者協会理事で東京大学教授の福島智さん(59)も寄稿し、盲ろう者としては国内で前例のなかった大学進学を目指して予備校に通っていた40年前、点字毎日で「がんばれ、盲ろうの福島君」という見出しで自身が報じられたエピソードを紹介している。