2022年05月10日 15:54

5月10日、「史伝 北条政子 鎌倉幕府を導いた尼将軍(著者:山本みなみ)」が、NHK出版より発売された。鎌倉殿の13人を選んだのは誰か。頼朝亡き後、政子はいかにして幕府を守ったのか。中世史研究の新鋭が新出史料を駆使し、比類なき指導力を発揮した女性政治家の実像に迫る。
鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝の妻にして、2022年大河ドラマの主人公・二代執権北条義時の姉である北条政子。気が強くて嫉妬深く、冷酷でヒステリックなど、マイナスイメージの強い彼女だが、同時代史料から浮かび上がる政子の姿は違うという。主体的で慈悲深く、武家政権の確立と御家人の地位向上を果たした、鎌倉幕府最重要人物としての顔が見えてくる。
本書では、北条氏による編纂物の「吾妻鏡」だけでなく、「愚管抄」「明月記」「六代勝事記」などの京都側の史料や、大倉幕府周辺遺跡群の発掘調査などの考古学の成果も論じている。また、政子の生涯を「頼朝の正妻である御台所の時代」(第1章)、「頼朝の死後、出家し、後家として政治にも関与した時代」(第2章)、「尼将軍として采配を振るった時代」(第3章)と大きく3つに分けた。政治状況によって異なる立場についた政子の生涯を、章ごとに考察している。
類いまれなる政治力を発揮した女傑の全貌を明らかにする、大河ドラマファンはもちろん、中世史ファン必読の一冊。定価968円(税込)。詳しくはこちら。