2022年02月07日 12:31

大林組とTOWINGは、共同で月の模擬砂と有機質肥料を用いた植物栽培を実証実験し、作物の栽培に成功した。

近年、宇宙開発利用の拡大に向けた取り組みが活発化している。月面における有人活動には、水や食料などの物資が不可欠で、初期には地球から輸送するが、長期的に継続して活動を行うためには、月面の資源を利用することや物資循環を行うことが必要と考えられる。また、月面の人工光型植物工場のような施設で植物栽培を行うことで、地球からの輸送物資の大幅な削減と滞在期間中のQOL(生活の質)の向上を実現できる。しかし、植物栽培のためのシステムをすべて地球から輸送する場合、輸送コストが障壁となると考えられる。

そこで、大林組とTOWINGは共同で、月の砂を植物栽培が可能な土壌とするための技術を開発した。大林組は、月の砂をマイクロ波やレーザーを用いて建材化する技術開発をJAXAなどと実施しており、TOWINGは無機の多孔体を設計する技術を保有している。また、TOWINGは農業・食品産業技術総合研究機構が開発した人工的に土壌化を行う技術を活用し、有機質肥料を用いた人工土壌栽培を可能にするノウハウも保有している。今回の植物栽培実験ではそれらの知見を組み合わせて、月の模擬砂から多孔体を設計・製造し、それを土壌化してコマツナを栽培した。両社は、月面での植物栽培技術を実用化することで、宇宙活動でのQOLの向上を実現し、未来の持続可能な宇宙開発に貢献していく。

大林組 / TOWING