2022年01月12日 12:03

久留米工業高等専門学校では、「産業・技術遺産のデジタル・アーカイブ化」に取り組んだ。これは、同校を支援するために設立された技術振興会組織「テクノネット久留米」が行っている研究・開発シーズ育成奨励事業による支援を受けて行われたもの。

デジタル・アーカイブとは、現物による保存では避けることができない経年劣化を、電子データとして記録・保存すること。今回のアーカイブ化の特徴は、技術遺産を対象とすることから、機械の仕組みをコンピュータ上での再現を主眼としていることにある。アーカイブ対象を、現物ではなくその技術遺産において実現された仕組みとすることで、デジタルデータの「必要に応じて編集を加えることができる」「共有・複製が容易」といった特徴を生かすことが可能。

アーカイブ化の第一歩として、久留米工業高等専門学校で長年展示に使用されてきた蒸気機関車模型を対象とした。この機関車模型は、地元久留米で活躍した「からくり儀右衛門」こと田中久重が佐賀藩藩主・鍋島直正の命により製作した、国産第一号蒸気機関車模型がモチーフ。機関車模型を分解・計測し、部品一つ一つをCADソフトウェアによりデジタルデータ化。デジタルデータ化した部品をコンピュータ上で組み立てることで、内部の構造や動作原理を確認することができる3Dモデルとすることができた。

現在、江戸時代の技術啓蒙書である「機巧図彙」(からくりずい)に記載された図面をもとに、「品玉人形」というからくり人形の3Dモデル化にも取り組んでいる。