
パナソニック ハウジングシステム事業部は、業界で初めてアブラヤシの廃材を活用した再生木質ボード化技術を開発した。
アブラヤシの果実から採取されたパーム油は、食用油や洗剤の原料として多岐にわたって使用されており、商業作物としてマレーシアやインドネシアなどの東南アジア諸国で大規模に栽培されている。しかし、25~30年の収穫期間を終えて伐採されたアブラヤシの廃材の多くは農園内に放置され、腐敗時に、メタンガスを含む温室効果ガスが発生することが問題視されている。また、未利用資源であるアブラヤシ廃材由来の再生木質ボードは従来の木質ボードの代替品として高い利用価値を有している。
同社は、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム「SATREPS(サトレップス)」の研究課題(日本とマレーシアの2国間プロジェクト)に参画し、アブラヤシ廃材の有効活用策として再生木質ボードの開発に取り組んできた。パナソニックは不純物を洗浄工程により除去し、抽出した長繊維を圧縮成形する独自の中間材を用いた再生木質ボード化技術を開発。品質の安定したボードへ再生することに成功。中間材化することで輸送性・保管性も向上するため、遠隔地のボード工場でも従来の木質ボード原料と同じように使用することが可能となる。
同社は、地球温暖化防止の取り組みを速やかに波及させていくため、規模が大きく成長の著しいアジア家具市場に着目。まずは、日本国内家具市場への導入に取り組み、22年春に国内家具製造業者へ再生木質ボードを提供し、23年度以降は家具市場以外へも用途を拡大し、さらに海外市場へと展開していく予定だ。