2021年10月25日 19:00

NHK出版より2019年8月に刊行した単行本「時間は存在しない」(カルロ・ロヴェッリ著、冨永星 訳)が、「第4回八重洲本大賞」を受賞した。
「八重洲本大賞」は、従来の書籍のジャンルにとらわれず、情報があふれる今だからこそもっと読まれるべき「すごい本」を選びだし、多くの人に読んでもらうことを目的とする賞。第4回となる今回のテーマは、「refining/洗練し続ける」。日常が大きく変わる中、未来への活路を切り開くための新たな知識と思考を与えてくれる一冊として、本書が大賞を受賞した。
「ホーキングの再来」とも評される天才物理学者カルロ・ロヴェッリ。独創的な理論、鋭い洞察やその詩的で美しい文章から、小説家やアーティストなど、幅広い層から支持を得る異色の物理学者としての一面も持ち合わせる。本書で彼は「物理的に時間は存在しない」という驚くべき考察を展開。さらに、それにもかかわらず私たちはなぜ時間が存在するように感じるのかを、哲学や脳科学などの知見を援用して論じる。
物理学の本としては異例の累計7万部を突破した本書は、まるで文学を読んでいるような洗練された筆致で、「新しい世界」を存分に見せてくれる。2017年から2018年にかけて原書とその英語版が刊行されると、どちらも大好評を博した。イタリア本国では発行部数が18万部に達し、35カ国で刊行が予定される世界的ベストセラーとなっている。価格2200円(税込)。