2021年04月01日 17:02

杖の専門店「近江一文字(おうみいちもんじ)」を運営するゴールドクローバーは、持ちたくなる杖の提供と情報発信で、転倒事故を減らすことを目指している。

厚生労働省の調査によると、毎年約3万人の高齢者が「不慮の事故」で死亡している。交通事故、自然災害を除く不慮の事故による総死亡者数のうち、高齢者の割合は8割以上。また「不慮の事故」のうち、「転倒・転落」は「交通事故」より死亡者数が多い。さらに東京消防庁によると、救急搬送された事故のうち、「転倒・転落」による事故は最も多く、全体の約8割を占める。

このように高齢者の転倒事故リスクは高いにもかかわらず、それを未然に防ぐ「転ばぬ先の杖」に対してネガティブなイメージを持ち、「杖を持ちたくない」という高齢者は多い。加えて、20~40代の比較的若い女性も、関節の手術などにより杖を必要するケースも、多くの人の想像以上にみられる。

近江一文字は、杖をその日の服に合わせてコーディネイトしたり、友達に見せて自慢できるような持ちたくなる杖・ステッキを広く知ってもらうことを目指している。色とりどりのカラフルな金属製を始め、昭和天皇、吉田茂元首相のステッキ製作に携わった職人による手作りステッキや、小浜・若狭塗の職人さんによるステッキ開発などの計画を進行中。杖に対する価値観や環境を変えることで、杖を喜んで持つ人が増え、生涯自力歩行を促し、世の中の転倒事故が減ると考えている。