2021年02月24日 17:58

コロナ禍で増えた「おうち時間」を背景に、クオリティの高い雑貨がワンコインで買える100円ショップが好調だ。帝国データバンクの調査では、大手5社を中心とした2020年度の100円ショップ業界の売上高(事業者売上高ベース)は11年連続で増加する見通しとなった。大手のセリアなどでは20年度業績で過去最高売り上げを見込むなど各社の業績好調を背景に、業界全体でも売上高で過去最高を更新することがほぼ確実となった。
100円ショップはこれまで、ファッション性や実用性に優れたアイテムをワンプライスで提供することで消費者の支持を集めることに成功し、規模を拡大してきた。ダイソーなど大手5社の店舗数は19年度期末時点で7600店を超えており、10年間で4割超増加。積極的な出店が続いたこともあり、2019年度の売上高は8722億円に到達した。
2020年度は新型コロナの感染拡大による外出自粛や店舗休業などの影響を受けたものの、巣ごもりにともなう「おうち時間」の増加で生活雑貨を中心に幅広いアイテム需要が拡大。消費者の節約志向も相まって、生活雑貨からアイデア商品までが揃う100円ショップがコロナ禍で脚光を浴びた。今後も積極的な事業展開が各社で進む見通しで、100円ショップ各社の業績に追い風となりそうだ。
ただ、20年度には店舗数が8000店を超える見込みのほか、300円ショップなど他のワンプライス業態も進出するなど飽和感も。顧客獲得競争の激化も予想されるなか、各社とも価格にこだわらない消費者目線のアイテム供給で、100円ショップ業態としての成長を目指す。