2018年11月07日 06:32

高知工科大学総合研究所特任教授の竹田真己らの共同研究グループ(高知工科大学、順天堂大学、東京大学)は、記憶課題実施中のサルの脳活動を計測することにより、「ものを見て、ものを思い出す」際に、大脳側頭葉の神経回路が皮質層単位で柔軟に切り替わることを発見した。この神経回路の切り替えがうまくいかないとサルは正しく図形を思い出すことができないことがわかった。

この結果は、記憶を思い出す仕組みの一端を初めて明らかにしたものであり、今後の高次脳機能障害の診断・予防・治療法の精度を高くすると期待される。本成果は11月6日に国際科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(オープン・アクセス)にて発表された。

このメカニズムの解明は、記憶の想起に関わる大脳ネットワークの動作原理がより理解されるだけではなく、記憶障害時の側頭葉の神経回路の働きを皮質層レベルで見ることで、脳の活動をもとにしたより精度の高い治療にもつながると期待される。