2025年05月15日 16:03

パナソニックHDは、ナイロン系の樹脂にセルロースファイバーを40%添加することで、優れた強度と成形性を有する低比重な成形材料として開発することに成功した。
同社は2015年から石油由来の樹脂量を減らす研究開発活動を開始。天然由来成分であるセルロースファイバーを高濃度で樹脂に複合し、高精度射出成形が可能なセルロースファイバー成形材料「kinari」を開発した。2019年にセルロースファイバーを55%濃度で、2021年には70%濃度(バイオマス度70%)で樹脂に混ぜ込む「kinari」の複合加工技術を開発。2022年3月には、植物由来の樹脂を使用したバイオマス度90%以上の成形材料を開発した。
さらに、石油由来樹脂の代替材料としての「kinari」の適用可能な製品範囲を広げる取り組みとして、セルロースファイバー成形材料の高強度化を目指し、エンジニアリングプラスチックとの複合化技術の開発を進めた。混練技術、成形技術の改良に加えて、セルロースファイバーとナイロン系の樹脂を直接結合させる技術を確立。それにより、PBT-GF30%と80℃の温度条件下で同等の強度を有するとともに、比重が小さいセルロースファイバー成形材料の開発に成功した。自動車内装部材のような複雑な形状への成形が可能。
2027年までに高強度樹脂ペレット販売を開始する見込み。今後、高強度セルロースファイバー成形材料の特長と優位性を活かし、家電筐体や車載機構部材、大物家電外装等への展開を進める。