2023年11月13日 15:54

IHIは、世界最高レベルの水素循環量を実現する大容量再循環装置となる電動水素ターボブロアを開発し、このたび実証運転に成功した。本装置は航空機燃料電池向けに使用することを目指して開発したもので、独自開発のガス軸受超高速モータを採用することで大容量化を達成した。
今回開発した電動水素ターボブロアは、燃料電池発電時に未反応のまま排出される水蒸気を含む大量の水素(水素供給側の排出ガス)を回収し、燃料極(負極,アノード)に再循環する装置。本開発には、航空機燃料電池向けとして大量の水素ガスを回収するために、独自開発のガス軸受を用いた超高速モータを採用。これにより再循環装置の大容量(高効率)化かつ小型化、軽量化を実現した。
ガス軸受は潤滑油を使用しないため、潤滑油で水素を汚染することがない。さらに本装置は水素雰囲気中で使用するための密閉構造化や、大容量化に必要なモータ排熱性能の向上(熱によるモータへのダメージを低減)を行っている。航空機燃料電池として必要となる電力出力400kWを超える大型の燃料電池の水素再循環は、従来の小容積型ブロアでは複数台並列で運転せざるを得なかった。しかし本装置であれば1台で実現することができるようになる。
IHIは、引き続き航空機の電動化に向けた電動ハイブリッド推進システムの開発に取り組み、燃料電池電動ハイブリッドジェットエンジンから航空機システム全体の電動化・最適化にも取り組んでいく。