2023年08月28日 19:21

アイシン高丘は、鋳鉄部品の溶解工程でキュポラ燃料に使用している石炭由来のコークスを、植物由来のバイオ成型炭へ燃料置換する取り組みを本格化し、CO2排出量の削減をめざす。
アイシン高丘では、約21万トンのCO2を排出している。その内訳は、鋳鉄を溶解する工程からの排出が約60%を占め、石炭由来のコークスを燃料としているキュポラへの対応が急務となっていた。キュポラの燃料となるコークスは、使用時のみでなく、原料炭採掘、生成過程においてもCO2を排出、またその生産量は減少傾向にあり将来的な安定調達に懸念も。
これら状況への対応策の一つとして、他エネルギーへの置換の検討を開始し、食品廃棄物のヤシ殻で製造したバイオ成型炭を世界で初めて開発。キュポラ操業への影響ならびに製品への影響について実証評価を繰り返し行った結果、石炭由来コークスの代替燃料として置換できることを確認した。
本実証では、冷間強度や発熱量、熱間反応性などの特性や製造条件をはじめとする技術データを蓄積し、キュポラ用途に適したバイオ成型炭の実用化を目指している。バイオ成型炭の開発は、CO2排出量削減はもちろん、廃棄物として捨てられているヤシ殻を有効活用することによって廃棄物の発生量を減らすことができ、環境対策効果が期待できる。現在のところ、置換率50%の実証評価は完了しており、25年度中の量産開始を予定。今後連続操業を繰り返しながら、更なる置換率の向上をめざす。