2023年07月28日 15:27

静岡大学の研究グループは、腸内細菌および土壌細菌から、動物のスフィンゴ糖脂質を構成するオリゴ糖を分解することができる酵素α-1,4-ガラクトシダーゼを発見。その分子構造を明らかにした。
本研究は、さまざまな細菌のゲノム情報を活用し、既知の酵素とアミノ酸配列相同性が低い機能未知タンパク質から新規活性酵素を見出すことを目的として行われた。研究により、腸内細菌Bacteroides salyersiaeと土壌細菌Flavihumibacter petaseusのゲノムから、動物のスフィンゴ糖脂質に見られるオリゴ糖を分解する酵素を発見した。この酵素はグロボトリオースのα-1,4-ガラクトシド結合に特異的に作用し、他のα-ガラクトシドにはほとんど作用しない、厳密な基質特異性を有していた。
これまで知られている細菌由来α-ガラクトシダーゼはα-1,3結合やα-1,6結合に特異的に作用するものや基質特異性が広いもの。α-1,4-ガラクトシド結合に特異的な細菌由来酵素は知られておらず、本研究が初めての例になる。また、X線結晶構造解析によって酵素の分子構造を明らかにすることに成功し、酵素が基質のオリゴ糖を認識して加水分解する分子メカニズムを明らかにした。
本研究は、腸内細菌が宿主のスフィンゴ糖脂質の糖鎖を分解している可能性を示唆するとともに、細菌の新しい糖質資化経路の発見につながる。また、これらの酵素の反応を利用した糖質の検出や糖質の構造解析研究への応用につながると期待される。