2023年07月12日 15:22

岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の中澤篤志教授らの研究グループは、拡張現実(Augmented Reality(AR))技術により認知症ケアコミュニケーションスキルを学べるシステムを開発。拡張現実技術を用いた認知症ケアコミュニケーション訓練の有効性を実証した。

アイコンタクトなどのコミュニケーションスキルは、認知症の人のケアに有効。そこで38名の看護学生に対して、従来の模擬患者人形を用いた訓練と、拡張現実を組み合わせた訓練をランダムに割り当て、前後を比較した。その結果、提案システムにより、訓練者の物理的スキルとともに内面(患者への共感性)も変化。拡張現実により訓練を受けた学生群のほうが、アイコンタクトをより多く行えるようになるとともに、患者への共感性の向上度も高くなることがわかった。

この研究により、拡張現実のコミュニケーション訓練の有効性が示された。それとともに、医療・介護専門職だけではなく、家族介護者の人たちにも優しい認知症ケア技術を学べるようになる。

中澤篤志教授は、「ARによりコミュニケーション技術を学ぶのは、看護学生さんなど若い人に特に好意的に受け入れられており、楽しみながら学んでいただいている。このシステムは岡山大学をはじめ様々な大学で利用され始めている」とコメントした。本研究成果は、7月10日に科学雑誌「PLos ONE」に掲載された。詳しい研究内容についてはこちら