2023年04月21日 15:40

ロート製薬は、漢方方剤の1つである「防風通聖散」に、糖の1種であるフルクトースの吸収を抑制する作用があることを確認した(Journal of Natural Medicines掲載)。
防風通聖散は交感神経に働きかけるマオウや、脂肪代謝経路に働くカンゾウ・ケイガイ・レンギョウ、溜まった老廃物の排泄に働くダイオウなど、18種類の生薬からなる漢方薬。肥満症などに使用されており、近年、糖に対するメカニズム研究に注目が集まっている。そこで今回、防風通聖散の肥満症に効果を示すメカニズムの研究として、漢方薬学をテーマに漢方薬の薬理作用に関する研究を進めている名古屋市立大学・牧野教授と共同で研究を行うこととした。
研究では、防風通聖散の有無により、フルクトースを投与した際の血中濃度の変化に差が見られるかどうかを確認。その結果、防風通聖散を事前に投与された試験群では、投与後30、60、90、120分において有意に血中フルクトース濃度が低くなることが確認された。また18種類の生薬の中でフルクトースの吸収抑制に寄与する可能性のあるエキスを調べたところ、清熱作用をもつグループの寄与が示唆された。さらに、清熱作用を有する生薬について同様にそれぞれの血中フルクトース濃度を測定した結果、ダイオウを含む組み合わせおよびダイオウのみのエキスにフルクトースの吸収を抑制する作用を見出した。
本研究により防風通聖散の生薬ごとの重要性・役割や、成分について研究を重ねることで、よりよい品質の漢方薬の開発への応用が期待される。