2022年11月14日 15:40

タナックは、このほど日本人・アジア人の骨格形状と骨の質感をリアルに再現した模擬骨(名称:TANACBONE)の販売を開始した。

従来の模擬骨は海外製が多く、「サイズが大きい」「質感が硬い」といった問題があり、医療従事者が納得のいく使用感を得ることが難しい状況だった。同社は日本人・アジア人のデータから形状を忠実に再現し、大学での製品評価を得てこれらの問題を解決。国立研究開発法人産業技術総合研究所との力学試験や山口大学・岐阜大学との共同研究を経て、製品化に成功した。

ニーズが高い脊椎や大腿骨を中心に、製品ラインナップを揃え、同社ECサイト内で専用ページを開設し、医療機器メーカーや医療施設等への納入を順次開始する。本製品は医療教育への貢献のみでなく、インプラントの評価、医療トレーニングやシミュレーション、手術器具の開発などへの大幅な活用が期待できる。

同社は1996年に創業し岐阜県内の工場で医療機器部品、美容ヘルスケア製品を主に製造している。医療トレーニング事業は新たな事業の柱として2010年より事業開始した。当初は臓器や皮膚、血管モデルを製作していたが、2014年より販売していた獣医練習用模擬骨の質感が好評で、ヒト骨への転用を求める声が高まった。そこで2018年より、産業技術総合研究所と、医療分野における手術練習や力学試験での普及を目指した研究を開始。その結果、2022年3月に、JIS T0311「金属製骨ねじの機械的試験方法」において、力学試験用模擬骨の力学特性とその評価試験方法が掲載されている。