2021年09月03日 17:11

集英社インターナショナルは、川内有緒さんの「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」を、9月3日に刊行する。全盲の美術鑑賞者、白鳥建二さんは、20年以上にわたり晴眼者と会話しながらアートを鑑賞してきた。本書は、著者と白鳥さん、その友人たちが全国の美術館をめぐり、語り合った約2年間の記録となっている。
アートを入り口に、生や死、見えることと見えないこと、人間や社会、障害についても語り合い、思索を重ねる。そこに、白鳥さんの人生、美術鑑賞をする理由などが織り込まれ、壮大で温かい人間の物語が紡がれていく。著者は、目の見えない白鳥さんと会話を通じてアートを楽しみながら共に時間を過ごすことで、目が見えていても、見えていないもののあまりの多さや、自分の中にある偏見や先入観に気付く。
コロナ禍で対面が難しい現状ではあるが、生身の交流を通してお互いを知ること、伝え合うことの楽しさ、喜びを改めて感じられる1冊となった。本書を通して、白鳥さんとのアートの旅を追体験し、アートの新しい見方、魅力にも触れることができる。また本書では、大迫力の風間サチコさん「ディスリンピック2680」をカバー裏面に掲載した。本文にはあえて掲載しておらず、第9章の会話から作品を想像したのちに見て欲しいという。
作品画像(カラー&モノクロ)も多数掲載。視覚障害などの理由で本書を読めない人には、テキストデータを提供する。定価2310円(税込)。詳しくはこちら。