2025年10月20日 15:43

熊本大学大学院先端科学研究部岡島寛准教授らは、異なるサンプリング周期を持つ複数のセンサを用いるマルチレートセンサ環境下でのシステム同定に関する研究成果を発表した。

近年の制御システムでは、多様な機能を持つ複数のセンサが組み込まれることが一般的。これらのセンサは種類によってサンプリング周期が異なるため、入力と出力のデータに欠損値が生じる状況でのシステム同定が必要となる。

従来のシステム同定理論は、線形時不変系を対象とした完全なデータセットを前提としており、マルチレートセンサ環境への対応は困難だった。特に移動ロボット制御においては、LiDAR、カメラ、IMUなど異なるサンプリング能力を持つセンサを統合したモデルベース制御の実現が重要課題となっている。

本研究では、サンプリング周期が異なる複数のセンサから得られる信号を用いて、制御対象の数理モデルを高精度に構築するシステム同定アルゴリズムを提案している。マルチレートシステムを周期時変システムとして扱い、サイクリック再定式化手法により線形時不変系に変換することで、既存のシステム同定手法を適用可能にする。さらに、サイクリック構造の特性を利用した座標変換により、元のマルチレートシステムのモデルパラメータを導出する。

本研究成果は、「Journal of Robotics and Mechatronics」に10月20日に掲載された。